LAL-Dの管理

LAL-DLAL活性が不十分である、またはLIPA遺伝子の変化が認められることで診断されます[1]。LAL活性レベルは、酵素を調べる血液検査で判定できます[1]。

遺伝子検査は、LAL-Dが疑われる方に遺伝子の変化の状態を確認することが可能になりますが、乳幼児で実施する通常のスクリーニング検査では検出できない遺伝子の変化を持つ場合もあります[1]。肝臓と脂質の検査値に説明のつかない異常がある場合、LAL-Dを疑う必要があります[3]。

LAL-Dは進行性の疾患で、乳幼児では急速に進行して、重篤な合併症につながる場合があります[3]。そのため、LAL-Dの早期の識別と正確な診断が非常に大きな意味を持ちます[1]。

継続的な臨床治療に併せて食事制限を行うことは、現在ではLAL-D管理に欠かせない側面であると考えられています[4]。研究によれば、低脂質食は支持的あるいは補完的な治療として示されています[5]。

LAL-Dを管理する最適な方法について、主治医と相談してください。他の管理方法には、次のようなものがあります。

脂質低下薬

脂質低下薬は通常、LAL-D患者さんに一般的な合併症である、高コレステロールの治療に用いられます。しかし、LAL-D患者さんが服用すると治療しているにもかかわらず肝臓の損傷を進行させるというエビデンスも存在します[1]。

肝移植

肝移植はLAL-D患者さんを肝不全から救う効果はあるものの、疾患の根本原因に対処するものではなく、また心臓や腎臓に対する障害の進行を止めることはできません。さらに、他の重篤な合併症のリスクも防げません[1,3]。

造血幹細胞移植(HSCT)

乳幼児のLAL-D患者さんに対して、造血幹細胞移植が行われたことがありました。長期的な転帰に関する情報は限定的ですが、HSCTによる重篤な合併症との関連が報告されています[1]。

参考資料
1. Reiner Ž, Guardamagna O, Nair D, et al. Lysosomal acid lipase deficiency — an under-recognized cause of dyslipidaemia and liver dysfunction. Atherosclerosis. 2014;235(1):21-30.
2. Gralnek IM, Hays RD, Kilbourne A, et al. The impact of irritable bowel syndrome on health-related quality of life. Gastroenterology. 2000;119(3):654-660.
3. Bernstein DL, Hülkova H, Bialer MG, et al. Cholesteryl ester storage disease: review of the findings in 135 reported patients with an underdiagnosed disease. J Hepatol. 2013;58(6):1230-1243.
4. Cohen JL, Burfield J, Valdez-Gonzalez K, Samuels A, Stefanatos AK, Yudkoff M, Pedro H, Ficicioglu C. Early diagnosis of infantile-onset lysosomal acid lipase deficiency in the advent of available enzyme replacement therapy. Orphanet J Rare Dis. 2019 Aug 14;14(1):198
5. Jones SA, Rojas-Caro S, Quinn AG, Friedman M, Marulkar S, Ezgu F, et al. Survival in infants treated with sebelipase alfa for lysosomal acid lipase deficiency: an open-label, multicenter, dose-escalation study. Orphanet J Rare Dis. 2017;12(1):25.